異世界失格 第10話
とある文豪と、その愛人がこの世を去った。憂い多き人生の如く渦を巻く激流へと身を投げ…るよりも早く、 猛スピードで突っ込んできた“例のトラック”によって。文豪が目を覚ますとそこは、異世界の教会。案内人は、慈愛に満ちた瞳で微笑みかける。「ようこそ冒険者よ。あなたは選ばれ、転移したのです」御多分に洩れず、勇者の使命を背負わされてしまう文豪。だが、彼は転移者の誰もが与えられる“あるもの”を持たなかった……。「…ふふ。恥の多い生涯だ」この世でも、異世界あの世でも<失格者>の烙印を押された文豪センセーの冒険が幕を開ける。きっと、どこかにいるはずの「さっちゃん」を見つけ出し、 今度こそ、あの日の本懐――心中を遂げるために。